■エピローグ‥‥‥待望のスポーツカー

 "VEMAC RD 180"の完成を目指しての作業は、ここ当分つづいていく。
 少量生産のよさ、手作りのよさと言い換えてもいいと思うが、こんな時代になかなか得ることのできない"価値"を決して失うことなく、量産ではやりにくいことを大切にしながら作業は進められる。
 造り手一人一人が、我が子を素晴らしい人間に育てようと愛情を注ぎこむと同じように、一台一台に愛情をこめて作業をし、納得のいったものだけを世に送りだす。このプロジェクトでは、それが可能なのである。
「私たちのコンセプトをキチンと現実のものとし、皆様の手にこの"VEMAC RD180"が届いたときに、"本当の、待望のスポーツカーだ"と云われることを願って努力してゆきます。これから先もつねに"本当のスポーツカー"を求めて進化を心がけていきます。それはきっと数値では表せないエモーショナルな面をもっともっと研ぎ澄ましたものになるでしょう」  これもまた、小野昌朗の言葉である。
 さて、小野昌朗の友人達を代表するつもりで、ぼくはこの文章を記した。ぼくらもまた、"VEMAC RD180"の完成を待ち侘びている。成功を祈りたいと思う。